BLOG The Trail of TRUNK TRUNKの日々を書き留めていきます。

2017.03.04Full of glamor, full of charm

展覧会に行ってきました。まずはDavid Bowie is展。

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会場は、天王洲。かつての倉庫街がカフェやギャラリーに生まれ変わったという、とても新鮮なエリアでした。この展覧会のために誂えられたであろう会場には、ボウイにまつわる展示がとにかくぎゅうぎゅうに詰まっています。たいへんな情報量で、2時間ではとても足りない。展示の説明文の文字が小さく、わりと低い位置にあって混雑する会場でじっくり読むのは正直難しいので、比較的空いているであろう平日にできればもう一度行きたい。ありえないような言葉の組み合わせを作り出すために、ワードジェネレイターを開発して、詩を作るのに活用していたというエピソードが面白かったです。柔軟な人だったんだな、という気持ちと、あの宇宙的な言葉を生み出すのに、コンピューターの力も借りてたんだな、という人間らしさが微笑ましい。自分が生まれる前に、とんでもなく魅力的で圧倒的な作品がこの世に生み出されていたということに、とにかく驚くしかなかったです。


翌日は、南インド出身のアーティスト、N.S.ハルシャの展覧会「チャーミングな旅]展へ。タイトルづけうまいなあ、まさに、「チャーミング」な内容でした。

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写真撮影OKだったので、たくさん撮影しました(ボケボケですが…)。写真は絵の一部で、全体は大変大きいものです。見ていて本当に面白く引き込まれる作品ばかりでした。アジアならではの死生観、資本主義の流入に対する戸惑いなどが直接的に表現されています。毒のある表現もユーモアがあって、チャーミングに収まるというか。作家の人々への視点がとても優しく愛を感じます。動物と人との近さ、眠ったり食べたりする人々の生活の風景、宇宙や輪廻をいつも感じながら生きること…同じアジアの感覚を共有していることを感じました。また見たい、もっと見たいと思わせてくれます。下の段中央の絵は、それぞれの夢を胸に学校に通う子どもたちが、宇宙の中に描かれています。この絵に添えられた言葉がとても良いです。「口いっぱいのお祈り、カバンいっぱいの夢。それがあれば、私たちは行ったことのない空間に行けるでしょう。With mouthful of prayers and bagful of dreams we will be in those spaces where you have never been.」

2017.02.17作り手の手を見て

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ある作家さんの工房にお邪魔する機会があった。一枚の銅板を焼きなまし、たたき。その工程を繰り返すことで平たい銅板から側面が立ち上がり、器や、フライパンやティーポットなどの調理器具になる。一枚の銅の板から、どうやってあのように角度のついた側面ができるのか、見る前はなかなかイメージができなかったが、底面になる円の形を決めた後、底に近い部分から円を描くように、左手で銅の板を持ちながら、まわしながら、槌で打ちおろし、すこしずつ立ち上げていく。その過程でひとつひとつ刻まれる槌目こそが、作品づくりへの確かな一歩一歩なのだった。毎日のスケジュールは規則正しく、展覧会が近くて忙しいからといって、食事をおろそかにすることはないという。お昼になると、それほど遠くない自宅に帰り、自ら作ったフライパンをふるい、料理を作る。自分の作品を日常使いの道具として使うことで、様々な気づきが得られるし、使い込むことで道具に生まれる味わいが、また良いのだと。その日は、私たちにタイカレーをご馳走してくださった。日本の職人を訪ねて取材の旅を続けているドイツ人カップルと一緒だったが、ここ数か月キャンプカーで寝泊まりし日本全国を旅している彼らの食事事情を慮って、野菜たっぷりの、優しいカレー。それを、毎日使っているという銅と真鍮のお皿に盛りつけてくださった。金属のお皿でお食事するのって、初めての経験。奥行きのある美しさを持つお皿とスプーンを使って、贅沢な気持ちでいただいた。
工芸の学校に通ったことも、高名な作家さんに弟子入りしたこともなく、ただひたすら自分の目と手で学びとり、自分の思い描くものづくりを追求してきたという。キャリアもレベルも全く違うけれど、私はひそかに親近感を覚えさせてもらったのだった。私も翻訳の学校でみっちり学んだわけではなく(短期間は通ったけれど)、海外経験も長くはない。翻訳家のもとでものすごい修行をした、ということもない。自分がいいと思う英語の専門家に私淑したり、英語ネイティブの先生に書いた英語を見てもらって英語の考え方や書き方を身につけるということを、ただただしてきた。学びの過程に終わりはないし、日本語で書かれた個性ある文章に向き合うたび、どう英語で表現しようか、いつも頭をひねっている。これでいい、これが正しいと誰かに力強く言ってもらいたいという気持ちになることもある。でもそうではなくて、自分で考えて、自分で決めて、結果も自分で引き受けること。その風通しの良さを、自分は選んだのだった、ということに、その作家さんの静かなエネルギーを感じて、あらためて気づかされたのでした。

2016.11.16Unforgettable Seven days in Sri Lanka

10月のことになりますが、スリランカに旅をしました。フリーランスになり4年目、初めて海外に出ることができて感無量です。

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ツゥクツゥクに乗って熱風と排気ガスに吹かれて街を駆け巡ったり、インド洋のさらにその向こうに思いを馳せたり、海岸でサンゴを拾ったり、ジェフリー・バワの週末の家・ルヌガンガを散策したり、フルーツとカレーが美味し過ぎたり、岩山をふらつきながらも登ったり、寝てばかりの犬から目が離せなかったり…忘れがたい思い出がたくさんできました。

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ネゴンボという、空港にほど近い街にあるホテルに泊まりました。そこのお庭にある木。とても気に入ってしまいました。どっしりした木のようでありたい、という想いから名付けた屋号「TRUNK」のイメージそのもの!と思いました。

 

旅は本当によいですね。日常を意識的に切り離すことで、心からリラックス、リフレッシュすることができました。気候も流れる時間も、何もかもが違う場所に人々が生きているという当たり前のことが実感できました。文字を見つめ理屈や整合性を意識する仕事をしているばかりではなく、もっと感性を磨かなければ。いろんなことを、もっと深い視点で知り、考察することができるようになりたいと思う日々でした。

2016.11.16FEEL KIYOMIZUDERA Photo Exihibition INSIGHT

秋の夜間拝観が始まっている京都・清水寺におきまして、
FEEL KIYOMIZUDERA写真展が本日11月16日より開催されます。

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*画像は、特設ウェブサイト「INSIGHT」より、キャプチャさせていただきました。
→特設ウェブサイト「INSIGHT」
 

<FEEL KIYOMIZUDERA 写真展 INSIGHT>
会期:11月16日(水)~12月4日(日)
会場:清水寺境内 経堂(→オフィシャルサイト)
時間:9:00~16:00、 18:00~21:00(20:30受付終了)
*入場無料
 

清水寺の「今」をとらえ、その様々な表情を記録・発信し続けるFEEL KIYOMIZUDERAプロジェクト。今やインスタグラムでのフォロワー数は15万人を超えると言います。今回初めてとなる写真展では、「内から見た清水寺」をテーマとして、普段なかなか見ることができない清水寺の姿を見ることができそうです。
意欲的に発信を続けるプロジェクトメンバーの皆様の思いを感じながら、英訳を担当させていただきました。たくさんの方に観ていただきたい写真展です。

 

<FEEL KIYOMIZUDERA Photo Exhibition INSIGHT>
dates: Nov 16 (Wed) – Dec 4 (Sun), 2016
venue: Kyodo Hall, Otowa-san Kiyomizudera(→Getting here)
hours: 9:00 am – 4:00 pm, 6:00 pm – 9:00 pm (last entry 8:30 pm)
*Admission free
 

We at Kiyomizu-dera Temple have been working on a project called “FEEL KIYOMIZUDERA,” to record the day-to-day lives of the monks and the seasonal landscapes, as well as the special Buddhist services, rituals, and events. The aim of the project is to hand down all the intangible spirits of the cultural property that appear on photos and videos to the next generation.
The temple has stood here on Mt. Otowa for a span of over 1,200 years. Nothing has seemingly changed, but in fact, all the temple buildings are breathing and continuously changing. Every morning and evening the mountains show their different appearances and the monks are entirely devoted to their faith in Kannon (a Buddhist deity and the principal deity of Kiyomizu). All that breathe in this holy place are transforming moment by moment.
This series of documentary photos captures a variety of beautiful temple moments that depict the present Kiyomizu. It is also thought-provoking enough to encourage thinking about the future of the temple.
Seize the moment, and treasure each moment.
The Kannon always enlightens us on the universal truths, especially how we humans should lead our lives. As the monks always do, simply offer prayer with gratitude and aspiration in mind. This will bring peace of mind to you as well.
We are delighted if you feel the compassion of Kannon from this diverse selection of the “scenes of prayers” in this exhibition.

2016.10.23牧ヒデアキさん写真展

建築家にして写真家の牧ヒデアキさんの、プロフィールと写真作品紹介文を英訳させていただきました。

建築家にして写真家の牧ヒデアキさんの、プロフィールと写真作品紹介文を英訳させていただきました。牧さんは2016年のキャノン写真新世紀において佳作に選ばれています。受賞作品は、東京都写真美術館に展示されます。

<写真新世紀東京展2016>
会期:10月29日(土)~11月20日(日)
会場:東京都写真美術館(→オフィシャルサイト)

 

また、個展も開催されます。

<牧ヒデアキ写真展>
会期:11月16日(水)~21日(月)
会場:アメリカ橋ギャラリー(東京、恵比寿)(→オフィシャルサイト)

 

被写体として切り取る場所は、愛知近郊の身近な場所が多いという牧さん。でもその風景は、どこかで見たことがあるようで、どこにもない一瞬の風景です。小さな違和感を見過ごさない鋭さ、世界を切り取るユニークな視点、自分だけでは気づくことのないこの世の繊細さや不思議を見せていただくことができること。写真でしかできない表現をいつも追及しているとおっしゃっていました。写真表現の豊かさ、それを見る面白さを教えていただきました。